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会員インタビュー INTERVIEW

「その場でChatGPTに投げた」初対面の台湾企業4社と後日商談を組んだ10分の準備術

「プレゼンの資料をその場で写真に撮らせていただいて、リアルタイムでChatGPTのアプリに全部投げました」

2026年8月19日に開催された日台IT交流会。台湾企業によるプレゼンテーションのあとに、10分程度の個別商談が並ぶという構成でした。参加者にとっては、初めて名前を聞く企業がほとんどです。

この場で、狙った企業すべてと後日商談を取り切った参加者がいます。WEB接客ツール「Creative Drive CRO」を提供する株式会社chipperの代表取締役・十時悠径さん。その日のうちに4件の後日商談が決まりました。何をしていたのか、そして無形商材の海外展開をどう見ているのか、うかがいました。

「無形商材の海外展開は、情報が少ない」

まず、今回の交流会に参加された狙いから教えてください。

私たちはBtoB向けのITサービスを提供しているので、常にグローバルは意識しています。ただ、ECや物販と比べると、無形商材をどうやって海外に展開すればいいのかという情報が、あまり多くない。ITツールとしてパートナーを広げるにしても、そもそもどう繋がればいいのかが分からないんです。今回の交流会は完全にそこに振り切った構成だったので、台湾の企業やディストリビューターと繋がれる可能性があるのではないかと考えて参加しました。

御社のサービスについても教えてください。

WEB接客ツールです。サイトに来た人の行動を計測して、どの検索経路から来た読者かによって、見せる内容やCTAをその場で出し分ける。読んでもらって終わりではなく、問い合わせにつながるところまでを設計しています。お客様は事業会社もあれば、支援側の代理店やコンサルティング会社もある。私が台湾に行って一社一社エンドのクライアントと商談するのは現実的ではないので、アライアンスパートナーとしてうまく連携できないか、という切り口で臨みました。

実際、台湾の市場はどう見えましたか。

お恥ずかしながら、台湾という市場をまったく知らなかったのですが、IT分野でいえば日本と遜色がない。いい意味で、十分に可能性があると感じました。

組みたい相手は、どういう会社でしょうか。

現地で販売力のあるパートナーです。そしてその条件は、日本とほとんど変わらないと思っています。日本でも結局、マーケティング会社やCRM・SFAのツールベンダーが、お客様側にコンサルタントとして入り込んで支援する、ソリューション型のセールスになるケースが多い。そこに共通のソリューションを提供できるので、全方位でマーケティングを担える会社と組めれば、素直に広がりはありそうだと思いました。

株式会社chipper 代表取締役 十時悠径さん
「私が台湾に行って、一社一社エンドのクライアントと商談するのは現実的ではないので」

訪問者の行動を計測し、流入経路に応じて見せる内容を出し分けるCreative Drive CROCreative Driveシリーズとして提供されるこのツールは、事業会社だけでなく、支援会社が自社の顧客に対して使うという性質を持つ。それが、海外展開の戦略にもそのまま影響していた。

商流は一方通行ではなかった

当日、想定外の切り口も生まれたそうですね。

データベンダー的なソリューションを提供している会社もいらしたので、その相手には別の切り口で話をしに行きました。インバウンド向けのデータを、私たちのツール側に連携できないか、という提案です。ここがITの面白いところで、データを掛け合わせることで、インバウンドユーザーの解像度が上がるソリューションが作れる。どのデータを組み合わせるかで、アウトプットはまったく変わります。

自社が出ていくだけの話ではない、ということですね。

物販だと、現地のライバーに販売をお願いするような、一方向の話になりがちだと思うんです。でもIT・無形商材だと、双方向のパターンが意外と起こりうる。そこに気づけたのが、今回いちばん大きかったですね。

プレゼン資料を全部撮って、その場でChatGPTに投げた

当日、4件の後日商談が決まったそうですが、何か準備をされていたのですか。

これはティップス的な話なのですが、私も当日はじめて知る会社がほとんどでした。そこで、プレゼンの資料をその場で写真に撮らせていただいて、リアルタイムでChatGPTのアプリに全部投げたんです。自分の会社とその会社がどう繋がれば価値が出るのかを、すべて出させました。8社か10社ほどがプレゼンしていたと思いますが、それぞれについて、自分たちとの相性の優先度まで全部出させています。

ChatGPTにプレゼン資料の写真を送り、台湾企業側の狙いを読み解かせた画面「どことつながるべき?」と質問し、提携ストーリーを出させた画面「優先順位を教えて」と質問し、企業ごとの優先度を一覧で出させた画面
当日、会場で実際にやりとりしていたChatGPTの画面(企業名はモザイク処理)。左から、資料の写真を送って台湾企業側の狙いを読み解かせたところ、「どことつながるべき?」と聞いて提携ストーリーを出させたところ、「優先順位を教えて」と聞いて優先度を一覧化させたところ。

実際の画面を見ると、企業名と優先度、狙いまで一覧になっていますね。これは事前に用意されたものですか。

いえ、事前には何も作っていません。全部その場です。プレゼンを聞きながら資料を撮って投げて、出てきた答えを見ている、というのをリアルタイムで回していました。基準は「有名企業かどうか」ではなく「うちと商流を作れるかどうか」で並べさせています。あわせてプレゼンターや決裁に関わりそうな人の顔も撮って、どの会社の誰なのかを頭に入れておく。プレゼンが終わってそのまま個別商談の時間に入るので、席に着いた瞬間には提案を話し始められる状態になっていました。

10分という商談時間は、短くはなかったですか。

最初からストレートに「これをしたい」と話したので、目的も明確でした。10分しかないのだから、無駄な話はいりません。話したいことをそのままぶつけて、きちんと後日の商談まで決めています。4社と決まったと言っていますが、それは全部こちらから提案をぶつけて取ったもの。関係が薄いところとは、逆にこちらから後日商談を組んでいません。組みたかった相手とは100%組めたという意味で、満足度がとても高いカンファレンスでした。

事前に企業情報がなくても成立する、ということでしょうか。

今の時代は、リアルタイムで準備ができてしまう。それは大きいですよね。そのうえで、これは個人的な感想ですけど、今回は構成が本当に良かったと思っていて。まず全社のプレゼンの時間があって、そこで準備ができる。そのあとに個別商談の時間が明確に区切られていて、話したい相手とは必ず座って打ち合わせができる。名刺交換だけで終わる交流会だと、なかなかこうはならないですよね。準備する時間と、それをぶつける場が、順番どおりにセットで用意されている。個人的には、ここが一番大きかったです。

相手の反応も違いましたか。

相手はわざわざ日本まで来ていて、何かしらの機会を求めています。そこに前のめりな相手が来たら、悪い気はしないはずです。普通の商談では、なかなかない状況ですよね。テレアポ経由だと、そもそも「あなたはどなたですか」というところから始まるケースがほとんどですから。

この方法を、十時さんは「ぜひ他の会員さんにお伝えいただければ」と話していました。同じ交流会に参加した企業からは「台湾側の企業情報が当日まで分からなかったので、事前に欲しかった」という声も出ています。事前資料は、本来こちらで用意すべきものです。次回に向けて改善します。そのうえで、手元に資料がなくても当日その場で組み立てられる。十時さんが見せたのは、その一つの答えでした。

AIを使った商談準備について語る十時悠径さん
「今の時代は、リアルタイムで準備ができてしまう。それは大きいですよね」

ベトナムには、そもそもホームページがなかった

海外での実践経験もお持ちだとうかがいました。

一度ベトナムへの進出を仕掛けて、テスト的に2社ほど契約したことがあります。SEOの文脈で攻めに行ったのですが、そこで大きな気づきがありました。ベトナムでは、そもそもホームページを持っていない企業がほとんどだったんです。ポータルメディア系のサービス以外は、基本的にFacebookと広告で完結していました。

検索そのものが、あまりされていないのですか。

ほぼ検索されていません。Facebookで繋がったり、広告を見てそのままFacebookページに飛んだり。しかも当時は、Googleが現地に入ってきてGoogle広告がこれから始まる、という段階でした。日本は「ホームページがある」ことからスタートしていますが、ベトナムはそこを飛び越えてSNSが先に来て、その形のまま発展している。前提がまるで違います。

他の国でも、同じような構造がありましたか。

ケニアの会社を支援したときも面白くて、決済手段がカードではなく、QR決済が先行して広がっていました。発展のタイミングで、そのときグローバルで主流のものが一気にスタンダードになる。だからページを持っていない、クレジットカードを持っていないといった環境が当たり前としてある。その実態は、外から見ているだけでは分かりません。ただ、マーケターが動く原理原則そのものは変わらないと思うので、現地のマーケターにソリューションだけを提供して、うまく売ってもらう形がいいのではないかと考えています。

「市場がない」のではなく、「攻めている企業がいない」だけ

ベトナムで、他に発見はありましたか。

現地でマイナビのような事業を展開しているスタートアップがあり、そこはコンテンツマーケティングで市場をこじ開けていました。つまり、マーケットがないのではなく、そこを攻めている企業がいないだけ。攻めようと思えば、パイは十分にあるということです。

参入コストの面でも、有利になりますか。

マーケットがまだ小さい分、日本でメディアを立ち上げるより低予算で立ち上げられます。今なら、意外とシェアを取りやすい。マネタイズまでは遠いかもしれませんが、市場が大きくなれば勝手に伸びていく。そういう発想は十分に成り立つと思いました。

大使館にPoCをぶつけに行っていい

先日のカンファレンスで、印象に残ったことはありますか。

個人的に、ウズベキスタンの話がすごく刺さりました。ベトナムの事例を知っているからこそ、伸びる市場に今のうちから張っておけば、あとは市場のほうが勝手に大きくなってくれる、という感覚が分かる。GDP成長率が7%台という話で、日本と比べれば相対的に急成長しています。今のうちに押さえに行く価値はある。しかも今はAIがあるので、それほど人数をかけずにできてしまう部分もあります。

他にも気づきがあったそうですね。

会場に大使館の方が来ていましたよね。大使館にPoC的にぶつけに行ってもいいんだ、と素直に驚きました。そういうことは、知らないと思いつかない。こうやってマーケットを作っていくのか、と実感しました。理事の方々を通せば繋がれそうですし、そう考えると、いくらでもPoCができる。そこに気づけたのが大きかったですね。

編集後記

今回の取材で得られた最大の学びは、方法論の再現性でした。事前の下調べではなく、プレゼンを聞いているその場で資料を撮ってAIに投げ、自社との連携仮説と優先度を出させる。同時にプレゼンターや関係者の顔も撮って、誰に話しかけるかを頭に入れる。直後の10分の商談では、その仮説だけをぶつける。この一連の流れは、業種を問わず、明日からでも真似できます。

そして、この動き方を成立させていたのは、交流会そのものの設計でした。まず全社のプレゼンがあり、そのあとに個別商談の時間が明確に区切られていて、話したい相手とは必ず座って打ち合わせができる。準備する時間と、それをぶつける場が、順番どおりにセットで用意されている。名刺交換だけで解散する形式では、なかなかこうはならないはずです。
そのうえで、この準備をしていたかどうかで、同じイベントの評価は正反対になります。用意されるのを待つのか、その場で取りに行くのか。海外の商談機会は限られているからこそ、この差が結果を分けるのだと感じました。ITや無形商材の海外展開は、モノの輸出に比べて情報が少ない領域です。だからこそ、双方向の連携が生まれる余地もある。売りに行くだけでなく、相手が日本に来るときに何を組めるか。その視点も、また大きな違いになりそうです。

国際ビジネス連結機構は、海外進出に挑む日本企業が最初の一歩を踏み出す場をつくり、その先を伴走します。海外展開にご関心のある方は、まずはお気軽にご相談ください。

インタビュー対象者

会社名 株式会社chipper
役職 代表取締役
お名前 十時 悠径
コーポレートサイト https://corp.chipper.co.jp/
サービスサイト https://lp.creative-drive.jp/

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国際ビジネス連結機構には、大手企業から中小メーカーまで150社を超える企業が参加しています。台湾・シンガポール・ベトナム・香港でのライブコマースは累計100回・GMV4億円、マレーシア商談確約ツアーでは参加11社で66件の商談を実施しました。
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