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トルコ進出の許認可ガイド|TITCKと会社設立フローから日本企業が知るべき手続きの全体像

COLUMN

2026.8.7

トルコへのビジネス進出を検討する際、「どの規制当局に何を申請するのか」「EU関税同盟メンバーとしての制度的メリットをどう活かすのか」といった点で情報が整理できていない場合があります。トルコは人口8,500万人超の巨大内需市場であり、EU関税同盟加盟国として欧州へのアクセス拠点にもなりうる、二面性を持つ市場です。

進出プロセスでは、医薬品・化粧品を管轄するTITCKへの登録、知的財産保護のためのTÜRKPATENT申請、会社設立時のMERSİSオンライン登録など、複数の省庁・機関にまたがる手続きが求められます。本記事では、トルコ進出を検討する日本企業の海外事業部担当者に向けて、許認可の全体像を体系的に整理します。

こんな方にオススメ

  • トルコ市場への進出を検討しているが、規制当局や許認可の手順が把握できていない製造業・メーカー担当者
  • EU関税同盟との関係やCE認証の活用可能性を含めたトルコ進出の全体像を知りたい海外事業部長クラスの方
  • トルコ進出を支援するコンサルタント・行政書士・中小企業診断士の方

この記事を読むと…

  • トルコの主要規制当局(TITCK・TÜRKPATENT・SGKなど)の役割と申請の流れが理解できる
  • 会社設立フロー(MERSİS登録から税務登録まで)の手順が把握できる
  • 業種別の許認可マップと、EU規制(CE認証)との関係性が整理できる

トルコ市場の地政学的優位性と日本企業が注目すべき理由

トルコ市場の地政学的優位性と日本企業が注目すべき理由 トルコ市場の 地政学… 地理的優位性 EU関税同盟 欧州向け拠点 MENA市場 戦略的ポジシ ョン 工業品メリッ

トルコはEUと中東・中央アジアの結節点に位置し、一国で「欧州向け輸出拠点」と「中東・北アフリカ市場(MENA)への玄関口」の両方を担える地理的ポジションを持っています。海外進出の候補地を検討する際、この二面性を正確に理解することが戦略の出発点になります。

EU関税同盟加盟がもたらす実務上のメリット

トルコは1996年からEUとの関税同盟を発効させており、工業品・加工農産物の対EU輸出において関税が撤廃されています。これは日本企業にとって実務的に大きな意味を持ちます。

トルコで製造・加工した製品をEU向けに輸出する場合、関税コストを大幅に抑えられる可能性があるためです。ただし、関税同盟はあくまで「関税の撤廃」に関する取り決めであり、EU加盟と同義ではないため、通関や各種規制対応は別途必要です。

実務上見落とされやすいのが、EU規制との連動です。CE認証(欧州整合規格への適合マーク)を取得済みの製品は、後述するTITCK(医薬品・医療機器・化粧品規制当局)への申請において審査の一部が簡略化されるケースがあります。

すでにEU市場向けにCE認証を取得している日本企業であれば、その認証資産をトルコ進出でも活用できる可能性があります。詳細は後述の「EU規制との関係」セクションで整理します。

中東・アジア向け再輸出拠点としての潜在価値

トルコは地理的にMENA(中東・北アフリカ)諸国と近接しており、特にGCC諸国(サウジアラビア・UAE・カタールなど)、イラン、エジプトへのアクセスが容易です。ハラル対応製品の生産・流通拠点としてもトルコは機能し得る位置にあり、国内市場向け販売と中東への再輸出を組み合わせたビジネスモデルを設計できる点は他の進出先にはない特徴です。

国際ビジネス連結機構のアドバイザーであるYenny Wahid氏(インドネシア元大統領令嬢・ムスリム協会会長)が示す通り、ムスリム人口を抱える市場への進出ではハラル認証と現地パートナーとの信頼関係構築が不可欠です。トルコを拠点とする場合も、ハラル対応の有無が中東向け展開の可否を左右することを念頭に置く必要があります。

外資規制の現状と日本企業への影響

トルコは外国資本に対して比較的オープンな規制環境を持つ国とされています。外資100%の法人設立が原則として認められており、特定業種を除けば合弁を強制されることはありません。

ただし、金融・放送・航空など一部の規制業種については出資比率の上限が設けられている場合があります。進出前に対象業種の外資規制を確認することが重要とされる場合があります。

トルコの主要規制当局と各機関の役割

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トルコへの進出で最初に整理すべきは、「どの機関が何を管轄しているか」という全体像です。日本企業が最も頻繁に接触する機関は、医薬品・医療機器・化粧品を管轄するTITCK、知的財産を所管するTÜRKPATENT、そして労働・社会保険を管轄するSGKの3機関です。

機関名 管轄領域 日本企業が主に使う場面 申請言語
TITCK 医薬品・医療機器・化粧品・獣医薬品 製品の市販承認・輸入許可申請 トルコ語(現地代理人が必要)
TÜRKPATENT 特許・商標・意匠・地理的表示 ブランド保護・製品特許の現地登録 トルコ語(国際出願経由も可)
SGK 社会保険・雇用保険・年金 現地従業員雇用・駐在員の社会保険加入 トルコ語
ハルパ(TEYDEB等) R&D補助金・投資インセンティブ 製造拠点設立時の優遇措置申請 トルコ語・英語(一部)
税務局(GİB) 法人税・付加価値税(KDV) 会社設立後の税務登録・申告 トルコ語

TITCK(トルコ医薬品・医療機器庁)の申請概要

TITCKは医薬品、医療機器、化粧品、獣医薬品の市販承認・輸入許可を一元的に管轄する機関で、日本の厚生労働省・PMDAに相当する位置づけです。製品をトルコ国内で販売するためには、原則としてTITCKへの事前承認・届出が必要とされる場合があります。申請はTITCKのオンラインシステム(TITCK e-uygulamalar)経由で行われますが、すべての手続きはトルコ語で行う必要があり、現地の認可代理人(トルコ法人または公認代理人)の指定が求められます。

化粧品に関しては、EU化粧品規制(Regulation EC No 1223/2009)を参考にしたトルコ化粧品規制(Kozmetik Yönetmeliği)が適用されます。EU圏での販売実績や品質文書(PIF: Product Information File)が整備されている製品は、TITCK審査において評価される場合があるとされています。医療機器については、MDクラス(リスクレベル分類)ごとに申請の複雑度が異なり、クラスIIb以上の高度管理医療機器は承認取得に相応の時間とコストがかかる傾向があります。

CAUTION

TITCK申請においては、現地代理人の指定が必須要件とされる場合があります。現地法人を設立する前の段階では、トルコ国内の認定代理人を通じて申請手続きを進めることが一般的です。代理人の選定は進出準備の早期段階から着手することを検討してください。

TÜRKPATENT(トルコ特許庁)での知的財産保護

TÜRKPATENTはトルコの特許・商標・意匠・地理的表示を管轄する機関で、日本企業が進出前に対応を検討すべき機関のひとつです。トルコ国内での商標権は、TÜRKPATENTへの登録によって初めて保護されます

日本で取得済みの商標があっても、トルコでの保護効力は原則として及びません。進出と同時に商標の現地登録を進めることが推奨される場合があります。

国際出願(マドリッド協定議定書経由)によるトルコ指定も可能であり、WIPOを通じて一括申請できる点は実務的なメリットです。意匠権についても同様で、ハーグ協定経由での国際登録が利用できます。

商標登録の審査期間は一般的に数ヶ月〜1年程度とされていますが、類似商標との競合があると延長される場合もあります。進出スケジュールとの兼ね合いで早期着手が推奨されます。

SGK(社会保険機構)と雇用関連手続き

SGKはトルコの社会保険・年金・雇用保険を統合管理する機関です。現地で従業員を雇用する場合、事業主はSGKへの雇用者登録と保険料の納付が義務づけられています。一般的に、雇用者負担の社会保険料率はトルコでは被保険者給与の20〜25%程度とされていますが、正確な税率は最新の政府情報を確認することが必要です。

日本からの派遣駐在員については、日本とトルコの間で社会保障協定が締結されているかどうかによって取り扱いが異なります。2026年時点での協定状況については、在トルコ日本大使館または日本年金機構の最新情報を参照することを推奨します。駐在員の処遇設計は現地の労働法規と日本の規定の両方に影響されるため、専門家との連携が不可欠です。

会社設立フロー — MERSİS登録から税務登録まで

会社設立フロー — MERSİS登録から税務登録まで 1 MERSIS登録 2 定款作成 3 税務登録 4 営業許可 5 4~8週間完了

トルコでの法人設立は、日本と比較すると手続きの種類は多いものの、MERSİS(中央商業登記システム)のオンライン化により以前より効率化が進んでいます。設立から営業開始まで、一般的には4〜8週間程度を要するケースが多いとされています。

MERSİS登録と定款の作成

MERSİS(Merkezi Sicil Kayıt Sistemi)はトルコの中央商業登記システムで、会社設立手続きの起点となるオンラインポータルです。まずMERSİSにアクセスし、会社名の検索・予約を行い、定款(Ana Sözleşme)の電子作成を進めます。定款には、会社の目的、資本金、役員構成、株主比率などを記載する必要があります。

株式会社(Anonim Şirket:A.Ş.)を設立する場合、最低資本金は一般的に5万トルコリラとされていますが、業種や規制当局の要件によって異なる場合があります。有限責任会社(Limited Şirketi:Ltd. Şti.)の場合は最低資本金が異なります。

正確な要件は設立時点でトルコ商工会議所等の公式情報を確認することが必要です。定款の内容は後工程の公証認証と連動するため、現地の法律専門家と連携して作成することが一般的です。

公証認証と資本金払い込み

MERSİSで作成した定款は、トルコの公証役場(Noterlik)での認証が必要です。公証役場での署名には、法人代表者または委任状を持つ代理人が出頭する必要があります。

日本から代表者が渡航して対応するケースのほか、現地代理人に委任状を授与して対応するケースもあります。委任状を使用する場合は、アポスティーユ(外国公文書認証)の取得が必要とされる場合があります。

資本金の払い込みについては、登記前に指定銀行口座への入金証明が求められます。外国法人が出資する場合の送金手続きは外為規制と連動するため、送金タイミングと証明書類の準備を事前に確認しておくことが重要です。

商業登記完了後の税務登録とSGK手続き

商業登記所(Ticaret Sicili Müdürlüğü)への申請が完了し登記が認められると、税務局(GİB:Gelir İdaresi Başkanlığı)への税務登録を進めます。法人税番号(Vergi Numarası)の取得と付加価値税(KDV:Katma Değer Vergisi)への登録が主な手続きです。

トルコの付加価値税の標準税率は一般的に18〜20%前後とされていますが、品目によって軽減税率が適用される場合があります。正確な税率は最新の公式情報を参照してください。

従業員を雇用する場合は、SGKへの雇用者登録も設立後すみやかに行う必要があります。雇用開始日前にSGKへの届出が義務とされている場合があり、遅延した場合はペナルティが課されることもあります。設立後の管理体制を担う現地スタッフまたは代理人の確保を、法人設立と並行して進めることが実務上の定石です。

業種別の許認可マップ

業種によって追加的に必要な許認可は大きく異なります。特に食品・化粧品・医療機器・サプリメントなどの消費財系製品は、TITCK申請に加えて複数の省庁との調整が求められる場合があります。以下に主要業種の許認可概観を整理します。

業種・製品カテゴリ 主管当局 主な許認可・登録 目安期間
医薬品(処方薬・OTC) TITCK 市販承認(Ruhsat)取得 1〜3年(品目・エビデンスによる)
化粧品 TITCK 製品情報ファイル(PIF)提出・届出 数週間〜数ヶ月(審査状況による)
医療機器 TITCK クラス別登録(CE認証が有利に働く場合あり) クラスにより数ヶ月〜2年超
食品・サプリメント 農業・林業省(GKGM) 輸入許可・成分認可・ラベル審査 数週間〜6ヶ月(カテゴリによる)
電気・電子機器 科学技術省・TSE(トルコ標準化協会) TSEマーク取得または輸入許可 数ヶ月(試験・認証によって異なる)
製造業(工場設立) 産業技術省・地方自治体 設置許可・環境許可・操業許可 6ヶ月〜1年超

化粧品・スキンケア製品のTITCK申請実務

化粧品のトルコ市場への投入は、製品情報ファイル(PIF: Product Information File)の整備と現地代理人の指定が起点になります。PIFにはすべての成分の安全性データ、製造情報、有効性に関する根拠文書を含める必要があります。EU市場向けにPIFをすでに作成している企業であれば、その文書資産をトルコ向けに転用・翻訳することができるため、準備コストを抑えられる可能性があります。

日本の美容・コスメティクス企業がトルコ市場へ参入する際に注意すべき点のひとつが、成分の使用可否です。EU化粧品規則で禁止・制限されている成分は、トルコでも同様の規制が適用されることが一般的とされています。日本国内では使用可能な成分であっても、EU・トルコでは使用禁止または使用量制限がある場合があるため、処方の事前確認が不可欠です。

食品・サプリメントの許認可と輸入手続き

食品・栄養補助食品(サプリメント)はTITCKではなく、農業・林業省傘下の食品安全局(GKGM)が主管当局となります。輸入サプリメントの販売には、輸入許可証(İthalat İzni)の取得と成分の承認が必要とされる場合があります。特に機能性表示が含まれる製品は、その表示内容の妥当性についても審査対象となり得ます。

ハラル認証については、トルコは国民の大部分がイスラム教徒であるため、食品・サプリメント分野ではハラル対応の有無が販売チャネルに影響する場合があります。ただし、トルコでは国内向け販売においてハラル認証が法的に義務づけられているわけではなく(一部品目を除く)、中東向け再輸出を視野に入れる場合に認証の取得価値が高まります。ハラル認証機関はトルコ国内にも複数存在しますが、輸出先国が認定する機関の証明書が求められる場合があるため、輸出先ごとの要件確認が重要です。

INFO

サプリメント・健康食品の成分規制はトルコでも頻繁に改定される傾向があります。進出前の成分リスト確認は、最新の政府官報(Resmî Gazete)や現地の規制専門家を通じて実施することを検討してください。

電気・電子機器のTSE認証と輸入規制

電気・電子機器のトルコ市場への投入には、TSE(Türk Standartları Enstitüsü:トルコ標準化協会)のマークまたは輸入許可が必要とされる場合があります。CE認証を取得している製品については、一定の範囲でTSE審査が簡略化されるケースがあるとされていますが、品目によって異なるため個別確認が必要です。電気・電子製品の規制はEUのRoHS・WEEE指令を参考にしたトルコ国内規制が存在しており、有害物質含有量の確認も求められることがあります。

EU規制(CE認証)とTITCK申請の関係

EU規制(CE認証)とTITCK申請の関係 CE認証 TITCK申請 EU規制 医療機器 認証資産活用 審査優位性

欧州市場への展開を見据えてCE認証を取得済みの日本企業にとって、トルコ進出はすでに保有している資産を活用できる市場という側面があります。EU関税同盟加盟国としてのトルコは、EU規制との整合性を一定程度維持しており、CE認証の取得がTITCK申請の審査に有利に働くケースが存在します。

CE認証がTITCK審査に与える影響

医療機器のカテゴリでは、CE認証(EU Medical Device Regulation: MDR に基づく認証)を取得済みの製品は、TITCKのクラス別登録において審査書類の一部省略または優先審査が認められる場合があるとされています。ただし、これはカテゴリ・クラス・審査時期によって大きく異なり、CE認証が自動的にトルコの市販承認に代替されるわけではありません。正確な取り扱いはTITCKの最新ガイダンスまたは現地代理人を通じて確認することが必要です。

化粧品の場合、EU化粧品規制(Regulation EC No 1223/2009)に基づいてPIFを整備し欧州市場で流通している製品は、そのPIFをトルコ向け申請資料のベースとして活用できる可能性があります。ただし、成分名称(INCI名)の表記や禁止成分リストに若干の差異がある場合があるため、そのまま転用するのではなくトルコ規制との差分確認が必要です。

CE認証取得のコストと期間の目安

CE認証をトルコ進出のために新規に取得することを検討する場合、コストと期間の目安を把握しておくことが重要です。医療機器のクラスI(低リスク)は自己適合宣言で完結することが多く、コストは比較的低く抑えられる傾向があります。一方、クラスIIb以上の高度管理医療機器では第三者認証機関(ノーティファイドボディ)による審査が必須で、費用は数百万円超・期間は1〜3年程度になるケースが多いとされています(一般的な目安であり、案件ごとに大きく異なります)。

化粧品のCE対応(PIF整備)は規制上は認証取得という形式ではなく、市場投入前に文書を整備して保持する義務として設計されています。安全性評価(Safety Assessment)に精通した専門家の関与が不可欠で、費用は製品の成分数・複雑度によって異なります。

CE認証保有のメリット(トルコ進出での活用)注意すべき点
  • TITCK審査で既存エビデンスを活用できる可能性がある
  • PIFや技術文書の転用でコスト削減が見込める場合がある
  • EU・トルコの二市場を並行して攻める際の効率性が高い
  • 購買者・代理店からの信頼性向上につながる
  • CE認証がそのままトルコの承認に代替されるわけではない
  • 成分規制・ラベル要件にはトルコ固有の差分が存在する
  • MDRへの対応はコスト・期間負担が大きい
  • トルコ側の規制改定により要件が変わる場合がある

EU関税同盟の実務的な活用場面

EU関税同盟のメリットは関税面だけに留まりません。トルコをEU向け輸出の製造拠点として活用する場合、EU原産地規則(Rules of Origin)への適合が要件となりますが、トルコ国内での一定以上の加工工程を経た製品は、EU関税同盟の恩恵を受けられる可能性があります。加工工程の要件は製品カテゴリごとに定められており、軽微な組み立てだけでは適用外となるケースが多いため、具体的な検討段階では専門家への確認が必要です。

トルコ進出でよくある失敗と事前に防ぐための視点

トルコ進出でよくある失敗と事前に防ぐための視点 1 代理人選定 2 許認可準備 3 法人設立順序 4 リスク低減 5 情報収集

トルコへの進出で躓くケースにはいくつかの共通パターンがあります。情報収集の段階でこれらの落とし穴を把握しておくことで、進出後のリスクを下げられます。

現地代理人の選定を後回しにするリスク

TITCK申請を含む多くのトルコの許認可手続きは、現地の認可代理人または法人の存在を前提としています。「法人設立が完了してから代理人を探せばいい」と考えていると、申請手続きが大幅に遅れることになりがちです。代理人の質によって申請書類の完成度・審査機関とのコミュニケーション精度が変わるため、代理人の選定は進出準備の最初期から並行して進めることが重要です。

進出プロセスでは、現地の信頼できるパートナーとの関係構築が成否を分ける要因になります。国際ビジネス連結機構が支援するマレーシア商談確約ツアーでは11社参加・66回の商談という実績があります。こうした場で現地ネットワークにアクセスできるかどうかが、トルコを含む新興市場への進出においても差になります。

⚠️ トルコ進出でよくある失敗パターン
  • 現地代理人の選定を後回しにし、TITCK申請開始が大幅に遅れる
  • 商標のTÜRKPATENT登録を後回しにした結果、類似商標が先行登録されてしまう
  • CE認証があるからTITCK承認は不要と誤解し、販売開始後に行政指導を受ける
  • 会社設立を急ぐあまり定款の目的条項が狭く、後から事業拡張時に定款変更が必要になる
  • ハラル認証が不要と判断し、中東向け再輸出の販路拡大で壁に突き当たる
  • 現地の雇用法・解雇規制を把握せずに採用を進め、人員調整時に想定外のコストが発生する

定款の目的条項を狭く設定しすぎる問題

会社設立時に定款の事業目的を過度に絞り込んで設定してしまい、後から事業拡張や取り扱い製品カテゴリを広げる際に定款変更手続きが必要になるケースは少なくありません。定款変更自体は手続き上不可能ではありませんが、追加のコストと時間が発生します。

初期設立時に事業目的条項を適度に広く設定しておくことが実務上の定石とされています。現地法律専門家と定款の目的条項を設計することに、設立コストの一部を割り当てる価値があります。

為替リスクと財務設計の盲点

トルコリラはインフレ環境下で通貨価値の変動が大きい傾向があると、一般的に指摘されています。現地通貨建てで収益を計上しつつ、原材料調達を外貨(ドル・ユーロ)で行う構造を取る場合、為替変動が収益構造に直接影響します。

進出前の財務モデルにおいて、為替変動リスクのシナリオ分析を組み込んでおくことが重要です。ただし、具体的な投資判断や財務戦略については専門家への相談を推奨します。

まとめ — トルコ進出の許認可を整理する5つのポイント

本記事で整理したトルコ進出の許認可・手続きの全体像を、実務上特に重要な5点に絞ってまとめます。海外事業部の情報収集段階にある場合、この5点を社内説明資料の骨格として活用できる内容です。

EU関税同盟メンバーとしての二面性を活用する欧州向け輸出拠点と中東・MENA市場への玄関口の両方として機能する点がトルコの最大の地政学的優位性
TITCK・TÜRKPATENT・SGKの3機関を押さえる日本企業が最も頻繁に接触する3つの主要規制当局の役割と申請タイミングを早期に把握する
会社設立はMERSİSからスタートし4〜8週間を想定するオンライン化が進んでいるが、公証・税務登録・SGK登録まで含めると一定の期間を要する
CE認証を保有している場合はTITCK申請での活用を検討するただし自動的な代替にはならないため、現地代理人を通じた事前確認が必要
現地代理人の選定を進出準備の最初期から始める代理人の質が許認可取得の速度と質に直結するため、後回しにしないことが重要

トルコは日本から地理的に遠い市場ですが、EU規制との整合性・外資に対するオープンな環境・中東へのアクセスという3つの要素が重なる市場です。一方で、言語の壁(すべての申請がトルコ語)・通貨リスク・各機関の審査期間の不透明さなど、独自の難易度も存在します。

国際ビジネス連結機構では、アジア・中東・欧州をまたぐ海外進出支援の実務経験を持つ理事・アドバイザーネットワークを通じて、進出先の選定から現地パートナー構築まで幅広い相談に対応しています。トルコ進出に限らず、「どの市場から攻めるか」という全体戦略の段階から相談できる環境を提供しています。現状の状況を整理したい場合は、以下のフォームから相談してください。

トルコ・海外進出の相談が向いている方
  • トルコ進出を検討しているが、どの規制当局に何を申請すべきか整理できていない
  • CE認証を保有しており、欧州展開と並行してトルコ・中東市場を検討している
  • 現地パートナーや代理人の探し方がわからず、進出準備が止まっている
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よくある質問

トルコでの化粧品販売にはどのような手続きが必要ですか?

化粧品をトルコ国内で販売するためには、TITCK(トルコ医薬品・医療機器庁)への製品情報ファイル(PIF)の整備と届出が必要とされています。PIFには全成分の安全性データ、製造情報、品質管理文書などを含める必要があります。

EU化粧品規制に基づいてPIFを整備済みの製品は、その文書資産をトルコ向けに転用できる可能性がありますが、成分規制の差分確認とトルコ語対応が必要です。現地代理人の指定も原則として求められます。

CE認証があればTITCK申請は不要になりますか?

CE認証が自動的にトルコの市販承認に代替されるわけではありません。医療機器などの分野では、CE認証の取得がTITCK審査において有利に働くケースがあるとされていますが、製品カテゴリやクラスによって取り扱いが異なります。正確な要件はTITCKの最新ガイダンスまたは現地代理人を通じて確認することが必要です。

トルコの会社設立にはどのくらいの期間がかかりますか?

一般的に、MERSİSでのオンライン事前申請から税務登録の完了まで4〜8週間程度を要するケースが多いとされています。公証役場での定款認証・商業登記所への申請・税務登録・SGK雇用者登録という複数のステップがあり、申請内容や当局の審査状況によって期間は変動します。業種別の許認可(TITCK申請など)は会社設立とは別の手続きとして並行または後続で進める必要があります。

トルコで商標を保護するにはどうすればいいですか?

トルコ国内での商標権はTÜRKPATENT(トルコ特許庁)への登録によって保護されます。日本での商標登録はトルコでの保護効力を持たないため、進出と同時または進出前に現地登録を進めることが推奨されます。

マドリッド協定議定書経由の国際出願でトルコを指定することも可能で、WIPOを通じた一括申請が利用できます。審査期間は一般的に数ヶ月〜1年程度とされています。

トルコのEU関税同盟加盟は実際のビジネスにどう影響しますか?

EU関税同盟(1996年発効)により、工業品・加工農産物のEU向け輸出において関税が撤廃されています。トルコを製造・加工拠点として活用することで、EU市場向けの関税コストを抑えられる可能性があります。

ただし、EU加盟国とは異なり通関手続きは別途必要であり、EU原産地規則への適合も求められます。中東・北アフリカ市場へのアクセスとEU向け輸出を組み合わせた「二面輸出戦略」の拠点として活用する日本企業が今後増えると考えられます。

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上田 直之
理事上田 直之

株式会社アーツ、東証スタンダード上場企業PAとのJV、ベトナム進出支援PAエンタープライズ代表取締役社長、シンガポール現地法人BeautyJapan代表取締役社長を兼務。アジア最大級の美容博覧会の日本事務局を運営。

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