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UAE進出で必ず知るべき複層規制の実態|首長国ごとに異なるMOHAP・DHA・DOHをどう攻略するか

COLUMN

2026.8.7

UAEへの製品投入や拠点設立を検討すると、MOHAP・DHA・DOHという三つの名前に行き当たります。いずれも保健・医療分野を所管する当局ですが、上下関係ではなく、担当する層が違います。この構造を取り違えると、連邦に申請すべきものを首長国に出す、あるいはその逆という手戻りが起きます。

UAEは7つの首長国からなる連邦国家で、規制は「連邦」「首長国」「フリーゾーン」の三層で動いています。本記事では、どの層が何を決めているのかを整理したうえで、自社の商材と進出形態から申請先を判別する順序を示します。

こんな方にオススメ

  • ●UAEで医薬品・医療機器・健康食品・化粧品の販売を検討しているメーカーの方
  • ●ドバイとアブダビで手続きが違うと聞いたが、何がどう違うのかを整理したい方
  • ●フリーゾーンと本土(メインランド)のどちらに法人を置くか判断したい経営者・海外事業部の方

この記事を読むと···

  • ●MOHAP・DHA・DOHがそれぞれ何を管轄しているかが区別できる
  • ●「製品の登録」と「拠点・人の免許」で申請先が変わる理由がわかる
  • ●フリーゾーンを選んだ場合に本土市場へ販売できるかどうかの判断軸がわかる

UAEの規制が「複層」になる理由——連邦国家という前提

UAEはアブダビ、ドバイ、シャルジャ、アジュマン、ウンムアルカイワイン、ラアスアルハイマ、フジャイラの7首長国による連邦です。連邦憲法のもとで、一部の権限は連邦政府に、残りは各首長国に留保されています。保健分野はこの留保が色濃く残っている領域であり、結果として同じ「保健当局」が複数並立します。

層 主な担い手 決めていること
連邦 MOHAP(保健予防省) 国全体に適用される製品の登録制度や基準。北部首長国では拠点・人の免許も担う
首長国 DHA(ドバイ保健庁)/DOH(アブダビ保健省) 自らの首長国内での施設免許・医療従事者免許・保険制度
フリーゾーン 各フリーゾーン当局 ゾーン内での会社設立・ライセンス。分野特化ゾーンは独自の規制当局を持つ場合がある

POINT

判別の起点は「登録したいのは製品か、それとも拠点や人か」です。製品の市場投入可否は原則として連邦レベルで決まり、施設の開設や専門職の就業は首長国レベルで決まります。この一線を引くだけで、申請先の取り違えの大半は避けられます。

MOHAP・DHA・DOHの役割分担

MOHAP(保健予防省)——連邦レベルの製品規制

MOHAPは連邦政府の省庁として、UAE全土に及ぶ保健分野の制度を所管します。医薬品や医療機器といった規制対象製品を国内で流通させるための登録は、原則としてこの層で扱われます。あわせて、ドバイ・アブダビ以外の北部首長国においては、施設や医療従事者の免許についてもMOHAPが担当します。

DHA(ドバイ保健庁)——ドバイ首長国内の施設・人

DHAはドバイ首長国の保健当局で、ドバイ域内の医療施設のライセンスや医療従事者の免許、公的な健康保険制度の運用を担います。ドバイで診療所や検査施設を開設する場合、あるいは医療職を雇用する場合は、DHAの手続きが必要になります。

DOH(アブダビ保健省)——アブダビ首長国内の施設・人

DOHはアブダビ首長国における同等の当局です。施設免許・従事者免許・保険制度をアブダビ域内で所管します。ドバイで取得した施設免許や専門職免許がアブダビでそのまま通用するわけではない点が、実務上の注意点です。

CAUTION

「UAEで許可を取った」という表現は、実務では意味が確定しません。連邦での製品登録なのか、ドバイでの施設免許なのか、アブダビでの従事者免許なのかで、有効範囲がまったく異なります。取引先や現地パートナーから許認可の保有を告げられた際は、どの当局が発行したどの種類の許可かを書面で確認してください。

本土(メインランド)とフリーゾーンの選択

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拠点をどこに置くかは、規制の当たり方だけでなく、UAE国内で誰に売れるかを左右します。

本土(メインランド) フリーゾーン
設立手続きの窓口 各首長国の経済開発当局 各フリーゾーン当局
UAE国内市場への直接販売 可能 原則として制限があり、本土の販売業者を介する形が一般的
適用される規制 連邦法+当該首長国の規則 ゾーン規則+分野によっては独自の規制当局
向いている使い方 UAE国内の顧客に直接販売する 再輸出・地域統括・バックオフィス機能

フリーゾーンは設立の速さや運営上の利点から選ばれますが、UAE本土の顧客へ直接販売する計画がある場合は、その可否を設立前に確認する必要があります。設立後に販売チャネルの制約が判明し、本土法人を別途設けることになる例があります。

INFO

会社法の改正により、本土法人でも多くの事業分野で外国資本100%での設立が認められるようになりました。ただし対象となる事業活動は定められた範囲に限られ、首長国ごとの運用にも差があります。自社の事業活動コードが対象に含まれるかは、設立前に管轄当局へ確認してください。

申請先を判別する4つの質問

自社のケースで誰に何を出すかは、次の順序で絞り込めます。

質問 分岐
1 登録したいのは製品か、拠点・人か 製品なら連邦(MOHAP)中心/拠点・人なら首長国(DHA・DOH・MOHAP)
2 製品はどのカテゴリーか 医薬品・医療機器か、食品か、化粧品かで所管が分かれる
3 事業を行う首長国はどこか ドバイならDHA、アブダビならDOH、それ以外はMOHAP
4 拠点は本土かフリーゾーンか 本土なら国内直販が可能/フリーゾーンは販売範囲の確認が必要

この4問に答えられない段階で現地の代理店や申請代行業者と交渉を始めると、提示された見積もりが自社に必要な手続きを過不足なく含んでいるかを判断できません。まず自社側で4問を埋めてから相談に進むことを推奨します。

実務上の注意点

首長国をまたぐ展開は、手続きが積み上がる

ドバイで事業を立ち上げ、その後アブダビへ広げる場合、施設や人に関する手続きはアブダビ側で改めて必要になります。UAE全土での展開を初めから想定しているのであれば、どの順序で首長国を増やすかを事業計画の段階で織り込んでおくと、費用と期間の見通しが立てやすくなります。

現地パートナーへの依存度を設計で下げる

製品登録の名義や輸入者の地位を現地パートナー側に置くと、関係が解消された際に登録を引き継げず、市場投入をやり直す事態になり得ます。契約段階で、登録名義の帰属と、関係終了時の移管手続きを明文化しておく必要があります。

アラビア語表示と表示内容の要件を先に確認する

製品の表示については、アラビア語での記載や、記載してはならない表現に関する要件があります。パッケージが確定してから要件が判明すると、版下の作り直しと再生産が発生します。製品仕様を固める前に確認してください。

CAUTION

本記事は、UAEの規制がどの層で決まっているかという構造の整理を目的としています。個別の申請要件・必要書類・手数料・審査期間は製品カテゴリーと首長国によって異なり、改定もあります。実際の申請にあたっては、該当する当局の最新の公表内容と、現地の専門家による確認を必ず経てください。

当機構の海外展開機会が向いている企業
  • UAEを含む湾岸市場へ製品を投入する段階にあり、現地の規制構造を把握したい企業
  • 展示会・商談ツアーを通じて、現地バイヤー・キーパーソンと直接接点を持ちたいメーカー・ブランド
  • 代行や情報提供サービスではなく、自社が判断・行動できる「機会と場」を求めている海外事業担当者

当機構では、会員が台湾向けライブコマース(累計100回・GMV4億円超の実績)・現地商談ツアー・展示会という実際の取引の場に参加することで、現地の税関実務・バイヤー慣行・規制変化といった一次情報に直接触れる機会を用意しています。

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一般社団法人 国際ビジネス連結機構は、コンサルティングや輸出代行を行う会社ではありません。海外商談ツアー・現地ポップアップ・ライブコマース・財界キーパーソンとの接点など、会員が自ら動くための「場と機会」を用意する立場です。会員自身が判断し、行動することを前提とした設計になっています。

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よくある質問

ドバイで製品登録をすればUAE全土で販売できますか。

製品の登録は連邦レベルの制度として扱われるのが原則です。一方で、施設の免許や医療従事者の免許は首長国ごとに取得が必要です。「製品」と「拠点・人」を分けて考えてください。

MOHAPとDHAの両方に申請が必要になることはありますか。

あります。たとえばドバイで施設を構えて規制対象製品を扱う場合、製品側の登録と、ドバイでの施設免許の双方が必要になります。どちらか一方では事業を開始できません。

フリーゾーンに法人を作ればUAE国内で自由に販売できますか。

フリーゾーン法人からUAE本土の顧客へ直接販売することには、通常制限があります。本土の販売業者を介する形が一般的です。国内直販を前提にしているのであれば、本土法人の設立を検討してください。

北部首長国で事業を行う場合の窓口はどこになりますか。

ドバイ・アブダビ以外の首長国では、施設や医療従事者の免許についてもMOHAPが担当します。DHAやDOHは、それぞれの首長国の域内を対象とする当局です。

日本で取得済みの承認や認証は使えますか。

そのまま有効になるわけではありません。ただし、日本での承認実績や試験成績は、現地申請時の裏付け資料として求められることがあります。日本側の資料一式を整理しておくと、準備期間を短縮できます。

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上田 直之
理事上田 直之

株式会社アーツ、東証スタンダード上場企業PAとのJV、ベトナム進出支援PAエンタープライズ代表取締役社長、シンガポール現地法人BeautyJapan代表取締役社長を兼務。アジア最大級の美容博覧会の日本事務局を運営。

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