会員インタビュー INTERVIEW
「技術を持っている日本人が営業と一緒に回る、これが最強の武器」シャープ出身の経営者が美容家電で海外に挑む理由
「技術を持っている日本人が、営業と一緒に回る。これが最強の武器だと思うんですよ」
美容・健康・生活家電を手がける株式会社KALOS BEAUTY TECHNOLOGY。社名の「カロス」はギリシャ語で「美しい」を意味し、掲げているのは「美しさを技術で創る」という一文です。「Dr.Beau」「Rooomy」「JFT」などの自社ブランドで企画開発と販売を自社で担い、生産のみをアウトソースしています。
売上規模は2億円弱。OEM事業を大きく増やした今期は3億円以上を目指しています。決して大きな会社ではありません。それでも、日本のものづくりを海外に届けるという一点において、語る言葉には一貫した強さがありました。シャープで半導体から商品開発までを経験した高田社長にうかがいました。
「マーケティングだけで売る」ことへの違和感
まず、会社と商品について教えてください。
カロスビューティーテクノロジーと言いまして、カロスはギリシャ語で美しいという意味ですから、美しさを技術で創るという思いを社名に込めています。美容と健康と生活の家電をメインに企画開発、販売をしていて、生産だけはアウトソースでやっているという形になっています。ビジョンとしては、不便を便利に、美しさを、日本のものづくり。理念としては、嘘をつかないということですね。
「嘘をつかない」という理念には、背景がありそうですね。
最近はもう、中国のものをポンと持ってきて売る会社が増えてきているんですね。私はとにかくお客様に嘘をつかない、商品にも嘘をつかないということを心がけて商品解説をして、皆さんに使っていただきたい。決してマーケティングだけで、あるものを売るんじゃなくて、本当にちゃんとエビデンスが取れたものをお客様に使っていただいて、使って良かったと感じていただけるような形で開発を進めています。
日本のメーカーは、変わってきていると感じますか。
昔は、車でも家電でも、日本のものづくりはすごかったんですよね。日本で企画をやって、作るところは海外になっていくとは思うんですけど、ちゃんとした特徴のあるものを作っていたと思うんですよ。それが今はもう、日本人の企画開発がどんどん減ってしまって、中国で速く作ったものを日本の会社が買ってきて、いかにも自分のところで作ったような形で売っていく。マーケティングで売る。本当に性能がいいかというと、それも微妙なんですね。でも、性能が高いように見せかけている。本当に買った人たちが満足していますか、というところなんですよ。
半導体から商品まで——シャープ時代に得た射程
高田社長ご自身のバックグラウンドを教えてください。
シャープ時代に、半導体から商品まで全部やった経験があるんですよ。半導体でもメモリー、マイコン、それからセンサー。そこから商品に行っているので、基本的に知らない内容がないんです。ISO9001の監査員の資格を持っていますので、ものづくりの方向も知っているし監査もできる。美容と健康と生活家電だけやろ、じゃないんですよ。他のことを聞いても全部分かるので。
ふるさと納税にも採用されたそうですね。
こういう家電の分野で、ふるさと納税をしているメーカーってほとんどないんですね。うちが初めてです、今回。普通は、ものづくりをしていないとダメだという話で生産場所を言われるんですけど、企画開発がガチでここにあって、ものづくりだけをアウトソースして、また販売してサポートもする。そのプロセスを全部説明したんですよ。それで8機種、今年の4月から載りました。総務省の審査も通って承認をもらったので、本当にガチに日本で作っているということを証明できていると思っています。
欧米は「乾けばいい」、日本は「乾いた後」を考える
なぜ海外に出ようと考えられたのですか。
昔から、国内だけのマーケットって非常に小さいんですね。だけど日本の市場には実は強みがあって、新しいものであったり、ちょっと特徴のあるものが先に入る地域なんですよ。逆に欧米は、例えばドライヤーだったら乾かすだけで十分なんですね。乾かす以外のところ、早く乾かすとか、乾いた後に髪の毛が綺麗とか、そういったところはあまり考えられてなかったんですよ。そういうところは日本が先行者なので、日本である程度使っていただきながら、それをとにかく早く海外に持っていきたいと。

その違いは、伝わりにくいものでしょうか。
欧米人がそれを使うと、多分絶対気に入るんです。でも、それを日本側から広め切れていないところがあるんです。同じものなんだけど違いがあるんだと。何が違うのかというと、使ったら分かる。使わなくても原理さえ理解してもらえたら分かるんですけど、一般の人がなかなか理解はできないんですよね。ドライヤーで髪を乾かす時間、10分20分が一番無駄なんです。それが5分10分になったら、むちゃくちゃ時間短縮になるんですよ。そういうストレスが消えるというのも一つで。
東南アジア市場についてはいかがですか。
中国の安い、風量が大きい、音がすごいというだけでも、みんな興味は示すんですけど、そうじゃなくて、もっと仕上がりが良くなって髪の毛を傷めないというところを追求してやっていく。そういうところを、みんなに知ってもらいたいというのがあってやっています。
実際に、欧米で手応えを得た経験もあるそうですね。
イギリスの代理店をやられている方と手を組んで、ヘアケア関連の商材をやったんですよ。その時はやっぱり相当反応が良かったんです。なぜかというと、実は髪の毛の質がアジア人と欧米人で違うんですよね。アジア人はみんな直毛じゃないですか。欧米人は癖毛が多い。髪の毛の硬さが違うんですよ。硬さが違う髪の毛でも髪が変わるというのが体感できるので。かなり化けそうなところまで行ったんですが、うちが扱えなくなって止まってしまいました。
花蓮のポップアップから、次の商談へ
入会のきっかけを教えてください。
もともと上海の展示会で、上田さんが日本側のキュレーターとしてメインをやられていて、僕もその美容博に行きたいなと思っていたんですよ。そこでちょうど国際ビジネス連結機構ができて、それだったら会員として入ったら、すぐにどうこうじゃなくても、何かチャンスをつかめる可能性があるので、いっぺんちょっとやってみようと。
台湾・花蓮のポップアップはいかがでしたか。
実際、台湾の人に知ってもらうという意味ではいいところだと思いますし、インフルエンサーの方々にもやっていただきました。実際にものも売りましたし。一番大きかったのは、現地の流通の方と知り合えたことで、そこから次のビジネスに繋がったというのが大きいかなと。満足かというと完全ではないですけど、きっかけとしては良かったかなと。
次の商談ツアーには、何を期待されていますか。
台湾の家電売り場は、パナソニックが主流なんですよ。あとは中国。そこに美容家電も含めて、日本のちっちゃな会社だけど面白いものを持っているというのを、台湾の商社の方とか販売をやられている方々に知っていただいて。前回も花蓮が終わった後に商談をやりましたが、結構みんなレスポンスは面白かったですね。ただ、その後が続いていないんですよ。今回はもう一歩続くようなステップに行ければいいなということで、現地の人間も参加して考えています。
マレーシアの商談会はいかがでしたか。
マレーシアはまだまだ物価が安いところなので、プライスレンジはやっぱり重要なのかなと。あともう一つは、ブランド力も必要なのか。ただ、ブランド力がなくても売れるチャンスはあるというのは理解しました。一つは価格で、あとはエビデンスというか、性能というか、そういう見える効果が、訴えるにはいいのかなと。
「メイドインジャパンでなければ」ではなくなった
海外での日本製品の評価を、どう感じられていますか。
私の感じたところでは、別に日本製でなければいけないわけではなくなってきているかなと。昔みたいにメイドインジャパンじゃないとダメというのも多少ありますけど、でも、そうでもなくなっている気はします。ただ、台湾もマレーシアも含めて、日本の会社が作っている商品で何か面白いものがあるというのを探されているなというのは、お話ししていても感じ取ることができるかなという気はしますね。
「面白いもの」とは、どういうものでしょう。
日本で当たり前のものもそうだし、世界で当たり前のものでも、なんか違うものがあるんじゃないかという目で見られている気がしますね。日本のものづくりというところに関心は残っているので、まだまだチャンスはあるかなと思ってます。ただ、日本の商品が多く出ていないのは、企業がどうやって出たらいいかが分かっていないからなんです。
会員同士が「連結」してほしい
当機構への要望はありますか。
連結という名前だからね。会員同士も連結してほしいなと思って。会員のリストはあるんですが、それぞれのメーカーさんが何をやっているかは、実は分からない部分が多いんですよ。例えば、カロスビューティーだったら「何でも作ります」でもいいんですよ。食品関係だったら「食品やってます」でもいい。その簡単な一言があることによって、何をやっているかが分かるじゃないですか。美容と健康と生活家電と言ったって、分からないじゃないですか。
すでに、会員企業同士の取引も生まれているそうですね。
マレーシアの商談会で一緒だった化粧品メーカーのルクセスさんとは、実はうちから仕事を頼んでいます。うちが受けるんじゃなくて、うちから頼むんですけど。そういう関係ができれば、また将来なにかあるかもしれないし。そういう関係が作れたのは良かったかなと思います。
ライブコマースについてはいかがですか。
たくさんの商品を持っているので、ライバーもどれを選ぶかはなかなか難しいと思う。一気にボーンと売れるわけじゃなくて、少しずつでも認知が広がって、これからも忘れずに続けていただければなと思います。参加している企業が、ちゃんとライバーさんに知られているということが、参加するメンバーの安心感になるので。
技術者が、営業と一緒に回る
今後の海外展開の目標を教えてください。
日本国内に対して、海外の市場は何十倍もあるので。将来的に、海外の売上が日本の5倍ぐらいになっていければいいなと。ただ、1国ずつ増やすのは贅沢だと思っているので、まずは台湾でもマレーシアでも、どこかとガチで組んでスタートしたいというのが一つですね。台湾なら電圧もあんまり変わらないので。

海外進出を迷っている企業へ、メッセージをお願いします。
私はシャープにいましたけど、シャープも海外は下手くそやったんですよ。アメリカなんかディストリビューターに強く出られてしまって。私も技術をやっていましたけど、営業と一緒に売りにも行きました。営業だけで回るとやっぱり弱いんです。技術を持っている日本人が営業と一緒に回る。これが最強の武器だと思うんですよ。こういったところを海外で展開していただくことによって、もっとビジネスを伸ばしていく可能性があるんじゃないかなと思っています。
市場の広さについても、指摘されていましたね。
東南アジアもベトナムやカンボジアあたりを合わせると4億人ぐらいいますし、アメリカ市場も3億人を超えている。もっと他のところにいっぱい市場があるんですね。でも、そこに日本の本当の良さが全部伝わっているかというと、ごく一部だと思うんですね。とにかく一歩踏み出すということが、海外に向けては大事かなと。
編集後記
最も印象に残ったのは、「嘘をつかない」という言葉が、精神論ではなく事業設計として語られていたことでした。エビデンスが取れたものだけを扱う。制度の審査を通して、国内で企画開発していることを証明する。目の前で変化が体感できる商品にこだわる。すべてが、買った人が対価に見合う満足を得られるかという一点につながっています。
そして「技術者が営業と一緒に回る」という提言。海外展開の議論は、販路やパートナー探しに集まりがちです。しかし現地で最も強いカードは、自社の商品をいちばん深く理解している人間が、その場にいることなのかもしれません。
国際ビジネス連結機構は、海外進出に挑む日本企業が最初の一歩を踏み出す場をつくり、その先を伴走します。海外展開にご関心のある方は、募集中の機会をご覧ください。
インタビュー対象者
| 会社名 | 株式会社KALOS BEAUTY TECHNOLOGY |
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国際ビジネス連結機構には、大手企業から中小メーカーまで150社を超える企業が参加しています。台湾・シンガポール・ベトナム・香港でのライブコマースは累計100回・GMV4億円、マレーシア商談確約ツアーでは参加11社で66件の商談を実施しました。
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