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輸出許可申請書の書き方|必要書類と記載でつまずく箇所

COLUMN

2026.9.28

輸出許可申請書と必要書類を準備する実務のイメージ

「輸出許可申請書」を探していて、決まった様式が見つからない——これは探し方が悪いのではなく、その名前で呼ばれる書類が2種類あり、しかも片方は紙の様式ではないためです。

税関に対する輸出申告は、現在ほぼすべてが電子システムを通じた手続きです。一方で、外為法に基づく輸出許可(EL申請と呼ばれます)には、経済産業省へ提出する申請書と添付資料の一式があります。本記事では、この2つを分けたうえで、それぞれ何を用意し、どこに気をつけて記載するかを整理します。

こんな方にオススメ

  • ●初めて輸出申告を行うことになり、必要書類を揃えたい実務担当者
  • ●外為法の輸出許可(EL)を取得する必要があり、申請書の準備を進めている方
  • ●通関業者に依頼しているが、自社が何を用意すべきか把握しておきたい方

この記事を読むと···

  • ●税関への輸出申告と、経済産業省へのEL申請の違いが区別できる
  • ●それぞれで必要になる書類と、揃える順序がわかる
  • ●記載内容の不整合で差し戻される典型パターンを避けられる

2つの「申請」を切り分ける

税関への輸出申告 経済産業省へのEL申請
根拠 関税法 外国為替及び外国貿易法
対象 輸出するすべての貨物 安全保障貿易管理の規制に該当する貨物・技術
形式 電子システムによる申告が中心 申請書と添付資料一式を提出
実施者 輸出者、または委任を受けた通関業者 輸出者本人
タイミング 船積み直前 輸出申告の前。審査期間を見込む必要がある

POINT

順序を間違えると止まります。ELが必要な貨物は、許可を得ていないと税関に輸出申告できません。「通関業者に任せれば進む」と考えて船積み直前まで来ると、そこから審査期間の分だけ納期が遅れます。該非判定は商談の段階で終えてください。

2つの許可の全体像については、輸出許可証とは?税関の輸出許可と経済産業大臣の輸出許可の違いで整理しています。

税関への輸出申告——揃える書類

申告そのものは電子的に行いますが、その根拠となる書類は輸出者側で用意します。

書類 役割 注意点
インボイス(商業送り状) 品名・数量・価格・取引条件を示す 記載した取引条件(インコタームズ)と実際の費用負担を一致させる
パッキングリスト 荷姿・個数・重量・容積を示す インボイスの数量と食い違わせない
他法令の許可・承認書 個別の法令で必要とされる場合に添付 該当の有無を事前に確認する
運送書類 船荷証券や航空運送状 申告後に確定するものもある

他法令の確認を先に済ませる

関税法以外の法令で許可・承認・確認が必要な貨物があります。代表的なものとして、外為法に基づく輸出許可のほか、特定の動植物や食品、文化財、化学物質などに関する規制があります。自社の商品が該当するかを、初回の輸出前に確認してください。該当するのに未取得のまま申告すると、そこで手続きが止まります。

CAUTION

インボイスの品名は、該非判定で使った品名と揃えてください。社内の通称や営業上の商品名で書くと、判定書と申告内容の対応が取れず、確認に時間がかかります。型式や仕様まで含めた正式名称を使ってください。

EL申請——外為法の輸出許可

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申請の前に該非判定を終える

該非判定は、自社の貨物・技術が規制の対象かどうかを確認する作業です。判定は2つの規制で構成されます。

リスト規制 キャッチオール規制
判定の対象 政令で定められた仕様・性能に該当するか リスト非該当でも、用途や需要者から懸念がないか
判定の材料 製品の仕様書・技術資料 取引先の情報、最終用途、仕向地
結果の形 該非判定書として文書化する 取引審査の記録として残す

リスト規制の判定は製品仕様に基づくため、一度整理すれば同じ製品に繰り返し使えます。製品ごとに該非判定書を作成し、社内で共有しておくと、案件のたびにやり直す手間がなくなります。

申請時に求められる主な資料

  • ●申請書本体(貨物・技術の内容、仕向地、最終需要者、用途を記載)
  • ●該非判定の根拠となる資料(仕様書、カタログ、技術資料)
  • ●契約書や注文書の写し
  • ●最終需要者・最終用途に関する資料
  • ●取引の相手方に関する調査の記録

申請の窓口や様式、電子申請の可否は制度の運用によって変わります。着手前に、経済産業省が公表している最新の手引きを確認してください。

CAUTION

最終用途と最終需要者の記載は、申請の中核です。「一般産業用」といった抽象的な記載では審査が進みません。誰が、どこで、何に使うのかを具体的に示せる資料を、取引先から早い段階で受け取っておいてください。

差し戻される典型パターン

パターン 何が起きるか 対策
品名の表記ゆれ 判定書・契約書・申請書で名称が一致せず、同一性が確認できない 正式名称と型式を決め、全書類で統一する
用途の記載が抽象的 最終用途が特定できず、追加照会になる 取引先から用途の説明を書面で取得する
仕様資料が古い 現行の製品仕様と申請内容が合わない 製品変更時に判定と資料を更新する
着手が遅い 審査期間を納期に織り込んでおらず、船積みに間に合わない 引き合いの段階で判定を行う
数量・金額の不一致 インボイスとパッキングリストで数字が食い違う 出荷前に突き合わせる工程を入れる

進める順序

段階 やること
1 引き合いの段階で該非判定を行い、結果を文書化する
2 リスト該当・懸念ありの場合、EL申請に必要な資料を取引先から集める
3 経済産業省へ申請し、審査期間を納期計画に反映する
4 他法令の許可・承認が必要かを確認し、取得する
5 インボイス・パッキングリストを作成し、品名・数量を全書類で揃える
6 通関業者へ依頼し、税関へ輸出申告を行う
7 輸出許可通知書を受領し、船積みへ進む。以後の保存に備えて保管する

インボイスの書き方——申告の土台になる書類

輸出申告の内容は、インボイスの記載をもとに作られます。ここが曖昧だと、申告のたびに通関業者から照会が入り、審査にも時間がかかります。

記載すべき項目

項目 書き方のポイント
輸出者 正式な社名と住所。略称や事業部名だけにしない
仕向人・荷受人 実際に受け取る者を正確に。中間業者がいる場合は関係を明示する
インボイス番号・日付 社内で一意に管理できる採番規則を決めておく
品名 型式・仕様まで含めた正式名称。社内の通称は使わない
数量・単位 パッキングリストと必ず一致させる
単価・金額 通貨を明記する
取引条件 インコタームズと地名、版年をセットで記載する
原産国 EPAを使う場合はとくに重要
支払条件 L/C、送金、手形などの別

品名の書き方が最も重要

差し戻しの原因で最も多いのが品名です。営業上の商品名やシリーズ名だけを書くと、何を輸出しているのかが特定できません。統計品目番号の判断にも、該非判定との照合にも使えなくなります。

良くない例 望ましい例
抽象的すぎる Machine Parts Ball Bearing, Model XX-1234, Outer Dia. 50mm
社内通称 A-Series Unit Control Unit, Model A-100, for Industrial Use
まとめすぎ Electronic Components 100pcs Capacitor Model C-5 (60pcs), Resistor Model R-3 (40pcs)

CAUTION

インボイスの品名は、該非判定書に記載した品名と一致させてください。判定書では型式まで書いてあるのに、インボイスでは総称しか書いていないと、その貨物が判定済みのものかどうかを後から証明できません。事後調査で問題になるのはこの点です。

パッキングリストと書類間の整合

パッキングリストは荷姿を示す書類ですが、実務上の役割は「インボイスとの照合」です。数字が食い違っていると、そこで申告が止まります。

突き合わせる項目

  • ●総数量が一致しているか
  • ●品目ごとの数量が一致しているか
  • ●荷姿の個数と、記載された内容が矛盾していないか
  • ●総重量・容積が運送書類と整合しているか
  • ●インボイス番号が参照されているか

出荷前チェックの仕組みを作る

人の目で照合していると、件数が増えたときに必ず漏れます。出荷前に一度だけ、次の項目を機械的に確認する工程を入れてください。

1

該非判定書の品名・型式を確認する

2

インボイスの品名が判定書と一致しているか確認する

3

インボイスとパッキングリストの数量を突き合わせる

4

取引条件(インコタームズ)と実際の費用負担が合っているか確認する

5

他法令の許可・承認が必要な品目でないか最終確認する

EL申請の書類を集める順序

外為法の輸出許可(EL申請)で時間を取られるのは、申請書そのものよりも添付資料の収集です。相手先から取り寄せる資料があるため、着手が遅れると全体が後ろ倒しになります。

自社で用意するもの

  • ●該非判定書(判定の結論と根拠)
  • ●製品の仕様書・カタログ・技術資料
  • ●製造工程や性能を示す資料
  • ●社内の取引審査の記録

取引先から取り寄せるもの

資料 何を確認するためか 依頼のコツ
契約書・注文書の写し 取引の実在と条件 契約締結時に写しを確保しておく
最終需要者に関する資料 誰が最終的に使うのか 商談の早い段階で確認する
最終用途に関する説明 何に使われるのか 抽象的な回答では足りないと先に伝える
需要者からの誓約 転用しない旨の確認 様式を提示して依頼する

CAUTION

最終用途と最終需要者の情報は、取引が進んでから依頼すると相手の協力を得にくくなります。「なぜそんなことを聞くのか」と受け取られることもあるため、日本の法令上必要であることを最初の段階で説明しておいてください。商談の前提として共有しておけば、資料の入手は難しくありません。

記載でつまずく箇所を項目別に見る

用途の書き方

「一般産業用」「研究用」といった記載では、審査が進みません。誰が、どこで、何に、どのように使うのかが分かる水準で書く必要があります。取引先から得た説明をそのまま転記できるよう、依頼の段階で必要な粒度を伝えてください。

数量・金額の書き方

契約書、インボイス、申請書で数量や金額が食い違うと、同一の取引であることの確認に時間がかかります。分納する場合は、契約全体の数量と今回分の数量を区別して記載してください。

仕様の書き方

規制の基準は仕様値で定められています。申請書には、基準と対比できる形で自社製品の仕様値を書いてください。カタログの抜粋を添付するだけでなく、どの数値がどの基準に対応するのかを示すと、審査が滑らかになります。

技術の提供を含む場合

貨物とともに技術情報を提供する場合、その技術も規制の対象になり得ます。据付・保守のための技術指導、ソフトウェアの提供、図面の交付などが該当します。貨物だけを見て申請すると、技術部分が漏れます。

社内で標準化しておくこと

輸出の件数が増えると、案件ごとに一から資料を作る方式は破綻します。標準化しておくべきものを挙げます。

対象 標準化の内容
品名の表記 製品ごとに正式名称と型式を決め、全書類で統一する
該非判定書 様式を決め、製品ごとに作成・保管する
インボイス様式 必要項目を網羅した雛形を作る
取引審査 確認項目のチェックリストを作る
用途確認の依頼文 取引先へ送る定型文を用意する
保管の規則 保存場所・命名規則・保存期間を決める

POINT

標準化の効果が最も大きいのは品名の表記です。営業・技術・貿易・経理が別々の呼び方をしている状態では、書類間の整合を取るたびに確認作業が発生します。製品マスタに「輸出書類で使う正式名称」の欄を設けるだけで、多くの差し戻しが防げます。

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よくある質問

輸出許可申請書の決まった様式はどこにありますか。

外為法に基づく輸出許可(EL申請)については、経済産業省が様式と手引きを公表しています。一方、税関への輸出申告は電子システムを通じた手続きが中心で、紙の申請書を書く形ではありません。どちらを指しているかで探す先が変わります。

通関業者に任せれば書類は用意してもらえますか。

インボイスやパッキングリストの作成は代行されることがありますが、内容の正確性は輸出者の責任です。該非判定とEL申請は輸出者本人が行う必要があり、通関業者が代わりに判定することはできません。

該非判定は毎回やり直す必要がありますか。

同一の製品仕様であれば、判定書を再利用できます。ただし製品の仕様変更、輸出先の変更、最終用途の変更があった場合は、判定をやり直してください。

EL申請にはどのくらいの期間がかかりますか。

案件の内容によって異なります。納期から逆算して着手する必要があるため、引き合いの段階で判定を済ませ、該当する場合はすぐ準備に入ってください。

インボイスの品名は日本語でもよいですか。

相手国の通関で使われるため、英語での記載が一般的です。重要なのは、該非判定書・契約書・申告内容と同じものを指していると分かる表記にすることです。

インボイスの品名はどこまで詳しく書くべきですか。

型式や仕様まで含めた正式名称を書いてください。該非判定書に記載した品名と一致させることが重要です。社内の通称や営業上のシリーズ名だけでは、輸出した貨物を特定できません。

最終用途を取引先が教えてくれません。

日本の法令上必要である旨を説明してください。商談の早い段階で前提として共有しておけば、入手は難しくありません。取引が進んでから依頼すると協力を得にくくなります。

分納する場合、数量はどう書きますか。

契約全体の数量と、今回の出荷分を区別して記載してください。書類間で数量が食い違うと、同一取引であることの確認に時間がかかります。

据付指導のために技術者を派遣します。申請は必要ですか。

技術の提供も規制の対象になり得ます。貨物だけを見て申請すると技術部分が漏れます。指導の内容が規制対象の技術に当たるかを確認してください。

インボイスとパッキングリストの数量が合っていませんでした。どうなりますか。

申告の段階で照会が入り、修正を求められます。出荷前に突き合わせる工程を入れておけば防げます。

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