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輸入関税の計算方法|課税価格・消費税・EPA税率まで計算順に解説

COLUMN

2026.9.28

輸入関税と消費税を計算する実務のイメージ

海外から商品を仕入れる際、商品代金だけで原価を計算すると必ずずれます。日本では輸出にかかる関税はほとんどありませんが、輸入には関税と輸入消費税がかかります。この2つは計算の順序が決まっており、どちらを先に出すかを間違えると金額が合いません。

本記事では、課税価格の作り方から関税額・輸入消費税の算出、端数処理、少額免税の扱い、EPA税率を使う場合の条件までを、実際の計算順に沿って解説します。

こんな方にオススメ

  • ●海外仕入れを始めるにあたり、原価に上乗せされるコストを把握したい方
  • ●見積書の金額と、実際に請求された税額が合わない理由を確認したい方
  • ●EPAを使って関税を下げられるか判断したい輸入担当者・経営者

この記事を読むと···

  • ●課税価格・関税額・輸入消費税を正しい順序で計算できる
  • ●端数処理と少額免税の扱いがわかり、概算と実額のずれを減らせる
  • ●EPA税率を適用するために何が必要かがわかる

関税・輸入消費税の簡易計算

金額と税率を入れると、課税価格・関税額・輸入消費税・合計を計算します。仕組みは後述しますが、まず概算を出したい場合はここで確認してください。

金額と税率を入力してください

課税価格(CIF) —
関税額 —
輸入消費税 —
納付税額の合計 —

端数処理は反映していません。実際の納付額は通関時の計算によります。従量税・複合税の品目、個別消費税の対象品目には使用できません。

関税率別の早見表

課税価格(CIF)100万円あたりの負担額です。消費税率10%で計算しています。

関税率 関税額 輸入消費税 合計
0% 0 円 100,000 円 100,000 円
2.5% 25,000 円 102,500 円 127,500 円
3.9% 39,000 円 103,900 円 142,900 円
5% 50,000 円 105,000 円 155,000 円
6.4% 64,000 円 106,400 円 170,400 円
8% 80,000 円 108,000 円 188,000 円
10% 100,000 円 110,000 円 210,000 円
15% 150,000 円 115,000 円 265,000 円
20% 200,000 円 120,000 円 320,000 円

CAUTION

この計算は従価税(課税価格に税率を乗じる方式)を前提にしています。重量や数量で税額が決まる従量税、両者を組み合わせた複合税の品目には使えません。また酒税・たばこ税など個別消費税の対象品目では、それらの税額も課税標準に加わります。自社の品目がどの方式かは、HSコードを確定させたうえで確認してください。

計算の全体像——3つを順番に出す

輸入時の税額は、次の順序で確定します。前の数字が次の計算の土台になるため、順序を入れ替えることはできません。

順序 項目 計算 備考
1 課税価格 商品代金 + 運賃 + 保険料 いわゆるCIF価格
2 関税額 課税価格 × 関税率 品目(HSコード)ごとに税率が異なる
3 輸入消費税 (課税価格 + 関税額)× 消費税率 関税を加えた額が課税標準になる

POINT

見落とされやすいのは3の「関税額を足してから消費税をかける」という点です。課税価格だけに消費税をかけると、関税分に対応する消費税が漏れます。輸入が多い事業では、この差が積み上がります。

ステップ1:課税価格を作る

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課税価格は、輸入港に到着するまでにかかった費用を含めた価格です。商品代金に加えて、次の費用が含まれます。

  • ●輸入港までの国際運賃
  • ●輸入港までの保険料
  • ●買主が別途負担した容器・包装の費用、仲介手数料など、取引条件により加算が必要な費用

インコタームズがFOBであれば、商品代金には運賃・保険料が含まれていないため、これらを別途加算して課税価格を作ります。CIFであれば運賃・保険料が既に含まれているため、原則としてその金額が課税価格になります。契約の条件によって加算すべき項目が変わるため、見積書の内訳を確認してください。

INFO

個人が自分で使う目的で輸入する場合は、商品の小売価格に0.6を乗じた額を課税価格とする取扱いがあります。事業として輸入する場合とは扱いが異なるため、両者を混同しないよう注意してください。

ステップ2:関税率を特定する

まずHSコードを確定させる

関税率は品目ごとに定められており、その品目を特定する番号がHSコードです。分類を誤ると税率も誤るため、計算の前にHSコードを確定させる必要があります。判断に迷う場合は、税関の事前教示制度を利用して、輸入前に分類の回答を得ることができます。

税率には複数の種類がある

税率の種類 概要
基本税率 関税定率法で定められた基本の税率
暫定税率 一定期間に限り基本税率に代えて適用される税率
WTO協定税率 WTO加盟国からの輸入に適用される協定上の税率
特恵税率 開発途上国からの輸入に適用される低い税率
EPA税率 経済連携協定の締約国からの輸入に適用される税率

複数が適用可能な場合、原則として輸入者に有利な低い税率が使われます。ただしEPA税率と特恵税率は、後述する原産地の証明がなければ適用されません。

課税方式の違い

  • ●従価税:課税価格に税率を乗じる(最も一般的)
  • ●従量税:数量や重量に応じて税額が決まる
  • ●複合税:従価と従量を組み合わせる

HSコードの確定が計算の出発点になる理由

関税率はHSコードごとに定められています。つまりHSコードが変われば税率が変わり、納付額も変わります。計算を急いで概算だけ出しても、コードが間違っていれば全体が無意味になります。

厄介なのは、見た目が似た商品でも素材や加工の程度で分類が分かれる点です。同じ「衣類」でも、編物か織物か、素材が綿か化学繊維かで別のコードになり、税率も変わります。自社で判断しきれない場合は、税関の事前教示制度を利用して、輸入前に分類について回答を得ておくと確実です。

事前教示を使うべき場面

  • ●継続的に輸入する予定の品目
  • ●素材が混紡・複合材料で、分類の判断が分かれそうな品目
  • ●税率の差が大きく、分類によって採算が変わる品目
  • ●過去に通関で分類を指摘された経験がある品目

INFO

事前教示を受けておくと、同じ品目の申告で分類が安定します。分類が変わるリスクを抱えたまま価格を提示すると、後から原価が動いて利益が消えることがあります。継続取引を前提にするなら、初回のうちに確定させてください。

ステップ3:輸入消費税を計算する

輸入消費税の課税標準は、課税価格に関税額を加えた金額です。これに消費税率(国税と地方消費税の合計)を乗じます。酒税やたばこ税など個別消費税の対象品目では、それらの税額も課税標準に加わります。

端数処理

実務では端数処理によって概算と実額がずれます。課税価格と税額のそれぞれに切捨ての扱いがあるため、概算段階では数十円から数百円の差が出ることを見込んでおいてください。

少額輸入の扱い

課税価格の合計額が一定額以下の場合、関税と消費税が免除される取扱いがあります。ただし革製品や編物の衣類など、免除の対象外とされている品目があります。小口の継続輸入を前提に原価を組む場合は、自社の取扱品目が対象外に含まれていないかを先に確認してください。

CAUTION

1回の輸入を意図的に分割して少額免税の枠に収める行為は、適正な申告として扱われません。継続的な仕入れであれば、免税を前提にせず通常の税額で原価を設計してください。

EPA税率で関税を下げる

経済連携協定の締約国から輸入する場合、EPA税率を適用できれば関税負担を大きく下げられます。ただし自動では適用されません。

要件 内容
原産性 その産品が協定上の原産地規則を満たしていること
証明 原産地証明書、または自己申告による証明が提出されること
申告 輸入申告時にEPA税率の適用を申し出ること
書類保存 原産性を裏付ける資料を保存しておくこと

証明の方式は協定によって異なり、第三者機関が発給する証明書によるものと、輸出者・生産者・輸入者による自己申告によるものがあります。どちらの方式が使えるかは協定ごとに確認してください。適用を申し出ずに輸入した後で気づいた場合、事後的な手続きが必要になり、手間が増えます。

計算例で流れを確認する

商品代金100万円、国際運賃8万円、保険料2万円、関税率5%、消費税率10%と仮定します。

計算 金額
課税価格 100万円 + 8万円 + 2万円 110万円
関税額 110万円 × 5% 5万5,000円
輸入消費税の課税標準 110万円 + 5万5,000円 115万5,000円
輸入消費税 115万5,000円 × 10% 11万5,500円
納付税額の合計 5万5,000円 + 11万5,500円 17万500円

この例では、商品代金100万円に対して17万円強の税負担が発生します。実際の申告では端数処理が入るため金額は前後しますが、原価を組む際の目安として、この順序で試算しておくと大きく外れません。

課税価格で加算・控除を間違えやすい項目

課税価格は「商品代金+運賃+保険料」と覚えられがちですが、実務ではそれ以外にも加算すべき費用、逆に含めなくてよい費用があります。ここを取り違えると、申告額そのものがずれます。

課税価格に加算される主な費用

項目 内容
輸入港までの運賃・保険料 インコタームズがFOBなら別途加算が必要
容器・包装の費用 買主が別に負担している場合
買主が無償提供した材料・金型 いわゆる有償支給・無償支給の扱い
仲介手数料 買付手数料に該当するものを除く
ロイヤルティ・ライセンス料 その輸入貨物の取引条件として支払われるもの

課税価格に含めなくてよい主な費用

項目 理由
輸入港到着後の国内運賃 課税価格は輸入港までの価格で算定するため
輸入後の据付・組立・整備の費用 金額が明らかに区分されている場合
本邦において課される関税・消費税 税に税をかけないため
買付手数料 買主の代理として働く者への手数料

CAUTION

無償で提供した金型や材料の費用は、見落とされやすい加算項目です。海外の委託先へ金型を無償で送り、その金型で作った製品を輸入する場合、金型の費用を課税価格に上乗せする必要が生じます。社内で調達と貿易が分かれていると、この情報が通関側に伝わらないまま申告されることがあります。

従価税・従量税・複合税の違い

関税の計算方式は一つではありません。品目によって、価格に税率を乗じるもの、数量や重量で決まるもの、両者を組み合わせたものがあります。

方式 計算の仕方 特徴
従価税 課税価格 × 税率 最も一般的。価格が上がれば税額も上がる
従量税 数量・重量 × 単位あたりの税額 価格が変動しても税額は変わらない
複合税 従価と従量を組み合わせる 農産品などで用いられる
選択税 従価と従量のいずれか高い方(または低い方) 品目により適用の仕方が異なる

本記事の簡易計算は従価税を前提にしています。自社の品目がどの方式かは、HSコードを確定させたうえで確認してください。従量税の品目で従価税として概算すると、実額と大きくずれます。

特恵税率とEPA税率の使い分け

税率の適用順位

複数の税率が適用可能な場合、原則として輸入者に有利な低い税率が使われます。ただし特恵税率とEPA税率は、原産地の証明がなければ適用されません。

税率 対象 証明の要否
基本税率 原則的に適用される税率 不要
暫定税率 一定期間、基本税率に代えて適用 不要
WTO協定税率 WTO加盟国からの輸入 不要
特恵税率 開発途上国からの輸入 必要(原産地証明)
EPA税率 経済連携協定の締約国からの輸入 必要(原産地証明または自己申告)

原産地規則という関門

EPA税率を使うには、その産品が協定上の原産地規則を満たしている必要があります。「その国から出荷された」ことと「その国の原産品である」ことは別です。第三国の部品を組み立てただけでは原産品と認められない場合があります。

原産性の判断基準は協定と品目によって異なり、関税分類が変わること、一定の付加価値が付いていること、特定の加工が行われていることなどが求められます。輸出者側で判断できないケースもあるため、取引開始時に確認しておいてください。

証明の方式

方式 誰が証明するか 特徴
第三者証明 商工会議所など指定された機関 証明書の発給に時間と費用がかかる
認定輸出者による自己証明 認定を受けた輸出者 認定の取得が前提
自己申告 輸出者・生産者・輸入者 手続きが簡素。根拠資料の保存が必要

CAUTION

EPA税率は、輸入申告時に適用を申し出なければ使えません。申し出ずに通関した後で気づいた場合、事後的な手続きが必要になり、手間が増えます。取引の前に、EPAが使えるか、どの証明方式かを確認しておいてください。

実額と概算がずれる原因

端数処理

課税価格と税額のそれぞれに切捨ての扱いがあるため、概算と実額には差が出ます。少額であれば無視できますが、輸入件数が多い事業では積み上がります。

為替レート

外貨建ての取引では、申告に用いる為替レートが定められた方法で決まります。見積もり時のレートと申告時のレートが異なれば、円換算した課税価格も変わります。円安局面では、見積もり時より税額が増えることになります。

HSコードの相違

自社が想定したコードと、通関業者や税関が適用したコードが違えば、税率が変わります。請求額が想定と合わない場合、まず適用されたHSコードと税率を確認してください。

加算漏れ

前述の無償提供材料やロイヤルティなど、加算すべき費用が漏れていると、当初の申告額が過少になります。事後に修正申告が必要になる場合があります。

ずれの原因 確認先 対処
端数処理 通関業者の計算書 概算段階で数百円の差を見込む
為替レート 申告に用いられたレート 見積もり時にレート変動の幅を織り込む
HSコードの相違 通関業者 事前教示で分類を確定させる
加算漏れ 社内の調達・経理 加算項目のチェックリストを運用する

原価計算への組み込み方

関税と輸入消費税は、原価に与える影響がまったく違います。この違いを理解しないまま原価を組むと、利益率の見通しを誤ります。

関税 輸入消費税
性格 コストとして残る 原則として仕入税額控除の対象
原価への影響 そのまま原価を押し上げる 最終的には相殺される(免税事業者等を除く)
資金繰りへの影響 支払時に流出 支払時に流出し、後で還付・控除される
見積もりでの扱い 売価に転嫁する必要がある 原価には乗せないが資金計画には必要

POINT

見積もりで最も見落とされやすいのは、輸入消費税の資金繰りへの影響です。最終的に控除されるとしても、通関時にはいったん支払う必要があります。輸入量が増えるほど、この一時的な流出額が大きくなります。原価には乗せないが、運転資金の計画には必ず入れてください。

価格提示までの順序

1

HSコードを確定させる(必要なら事前教示を使う)

2

適用できる最も低い税率を確認する。EPAが使えるかを調べる

3

加算項目を洗い出し、課税価格を組み立てる

4

関税額を算出し、原価に乗せる

5

輸入消費税を算出し、資金計画に入れる(原価には乗せない)

6

国内の物流費・保管費を加えて総原価を出す

7

目標利益率から売価を決める

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  • 海外仕入れを始める段階にあり、関税と輸入消費税を織り込んだ原価を自社で組み立てたい企業
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よくある質問

関税と消費税はどちらを先に計算しますか。

関税が先です。関税額を課税価格に加えた金額が、輸入消費税の課税標準になります。順序を逆にすると税額が不足します。

日本から輸出するときに関税はかかりますか。

日本には現在、輸出に課される関税はありません。「関税の計算」が問題になるのは、ほとんどの場合、輸入時または相手国での通関時です。

見積もりの税額と実際の請求額が合いません。

原因として多いのは、課税価格に運賃・保険料を含めていない、端数処理を考慮していない、HSコードが想定と違った、の3つです。通関業者に適用されたHSコードと税率を確認してください。

HSコードが分からない場合はどうすればよいですか。

税関の事前教示制度を利用すると、輸入前に分類について回答を得られます。継続的に輸入する品目については、先に確定させておくと以後の申告が安定します。

EPA税率は申告しなくても適用されますか。

適用されません。原産地の証明を用意し、輸入申告時に適用を申し出る必要があります。

EPA税率を使うにはどんな書類が必要ですか。

協定と方式によって異なります。第三者証明なら指定機関が発給する原産地証明書、自己申告なら所定の様式による申告文が必要です。いずれの場合も、原産性を裏付ける資料を保存しておく義務があります。

無償で送った金型の費用も課税価格に入れるのですか。

その金型を使って作られた製品を輸入する場合、金型の費用を課税価格に加算する必要が生じます。調達部門と貿易部門で情報が分断されていると漏れやすい項目です。

輸入消費税は原価に入れるべきですか。

原則として仕入税額控除の対象になるため、原価には乗せません。ただし通関時には支払いが発生するため、運転資金の計画には必ず入れてください。

国内の運送費は課税価格に含まれますか。

輸入港に到着した後の国内運賃は含まれません。課税価格は輸入港までの価格で算定します。

請求された税額が見積もりと違います。何を確認すればよいですか。

適用されたHSコードと税率、申告に用いられた為替レート、加算項目の有無の3点をまず確認してください。通関業者の計算書に記載されています。

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